上海に残るトヨタの歴史
上海にはトヨタの歴史を語る場所があります。
上海におけるトヨタの歴史を辿ってきました。
・豊田紡織幹部社宅(愚园路1249弄) [ 取締役常務→専務 西川秋次の社宅]
上海豊田紡織廠事実上の経営責任者であった西川秋次が住んでいた家。
現在は一般の中国人住宅。
・豊田紡織幹部社宅(愚园路1249弄) [取締役 石黒昌明の社宅]
上海豊田紡織廠取締役の石黒昌明が住んでいた家。
石黒昌明の孫は、2017年ノーベル文学賞受賞のKAZUO ISHIGURO.
西川秋次の家の隣にあります。
今は誰も住んでいません。
近所に住んでいる住人に借りるとした場合の家賃を尋ねると
12万元(約200万円)と言われてしまいました…
またこの小区の愚园路側住宅2つには取締役クラスが住んでいましたが、
そこから奥へ(南へ)行けば行くほど役職が下の方々の住宅だったようです。
部長→次長→課長などなど。
西川秋次や石黒昌明の住居と比べると小さく、保存状態もあまりよくありません。
看板も資料もなく、上海豊田紡織廠のどういった役職のどなたが住んでいたかは不明です。
・豊田紡織一般社員社宅 (安西路23弄)
幹部社宅から北に約1km、上海豊田紡織廠の一般社員社宅があります。
当時20~30人が家族帯同でここで暮らしていたようです。
ちなみに現在も一般中国人住宅であり、不動産としての価値は1,000万元(約1億6000万円)くらいとのことです。
ここから西に2kmほどの場所にある上海豊田紡織廠へ通勤をしていた模様。
徒歩通勤かと思いましたが、当時から自動車通勤をしていた記述があるとのこと。
・上海豊田紡織廠記念館 (万航渡路2318号)
元は佐吉翁の個人会社として1920年開業。
翌1921年(株)豊田紡織廠に改組。
トヨタ紡織の初代海外工場です。
ここで得た利益を元に、1937年にトヨタ自動車が設立されたとも言われています。
様々な理由があり、表向きには記念館として開放していません。
ただ事前に依頼を行うと開放、及び説明会を開いてくれる上海豊田紡織廠記念館です。
そのため入口にも上海豊田紡織廠記念館という看板はありません。
また基本は観光施設ではなく、トヨタグループの方々、銀行、商社などの方々が研修で来られるとのこと。
2017年4月にはトヨタ自動車社長豊田章男さんも来られたようです。
また2020年夏頃から上海市长宁区の所有となったため、将来不透明とのこと。
中山西路から万航渡路に掛けて、大幅な開発計画があるらしくどうなるのであろう。。。
建物自体は保管されるが、記念館としては移動する必要があるかもしれないとのこと…
個人的に、ずっと記念館であることを祈ります。
・豊田佐吉邸
豊田佐吉邸には諸説あります。
今一番有力なのは、上記写真の場所。
淮海中路にある日本領事官邸とアメリカ領事館の間にかつてあったが
今は壊され小区になっている説。
もう一つは現アメリカ領事公邸です。
昔の地図や「上海歴史ガイドマップ」(木之内誠・著 (株)大修館書店 2011年)によると
どちらが正しいかはわかりません。
既に跡形も無くなっている or 現アメリカ領事公邸という点が
調査する障壁を非常に高くしています。
また何かトヨタの歴史で新しいことがわかったら、書きます。